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世の不条理の中で

20231105「世の不条理の中で」(マタイ2:16~23)

戦争の中で幼子が攻撃されたと聞くと私達の心には怒りと悲しみが込み上げてきます。それほどに幼子達が虐殺された今日の箇所は悲惨な場面です。

1.ヘロデは自分の王位を守るために幼子達を虐殺した。
ヘロデは生粋のユダヤ人ではなく、イドマヤ人(エサウの子孫)でしたが、ユダヤ・ハスモン家の混乱に乗じて権力を握り、ローマ帝国から任命されてユダヤの王になりました。彼はいつもユダヤ人の王が出てくることを恐れ、また、自分の王の立場を守るためなら自分の妻や子供達をも殺してしまう残忍な性格の持ち主でした。

2.こんなことがあっていいのか?と思う世の不条理
ヘロデが行ったような幼児虐殺、あるいはテロ、侵路、戦争、自然災害、不慮の事故、突然の病、さらには社会の不正によって騙されたり、誹謗中傷されたり、いわれのない責任を負わされる、など。この世には不条理が満ちています。「不条理」とは「筋道が通らないこと」や「道理に合わないこと」(goo 辞書)です。これは遠い世界の話ではなく身近な人間関係の中でも私達は経験することではないでしょうか?

3.神が罪や不条理を創造したのではない
初めに神が天地を創造された時、すべては良かった(創世記1:31)のです。しかし初めの罪によってこの世全体に不条理が侵入してしまいました。私達はそんな世の不条理の中で「神様なんで?」と叫びますが、それは決して不信仰ではなく、逆に詩篇にもあるような神に向かう祈り・讃美となっているのです。
ヨブも「神にオレの苦しみが見えているのか!?人の目を持たぬ神にオレの苦しみがわかってたまるか!」と「神に向かって」叫んだのです。(ヨブ記 10:4~5)

結論:神が世の不条理な状態をなぜ今そのままにしておられるのかはわかりません。けれども神の子イエスは天の御座を降り、私達が苦しみ悩むこの世界の中に踏み込んできて下さいました。イエスはヨブの訴えに応え、肉の目を持って人となられました。そして神の子イエスご自身が十字架上で「神さまなんで?!私をお見捨てになったのですか?」(マタイ27:46)と叫び、私達の罪を負って死んで下さり、よみがえらされて永遠に生きておられるのです。このイエスになら、私達の「なんで!?」の叫びをわからないまますべて預けて歩んでいくことができるのです。